フレット仕上
板フレットの仕上げ方

必要な道具


まず必要なものはレベルを見るスケール
10cmほどの短いものと
15cmの市販されいるスケール
短いものは15cmのものをカットしてもよい



スケールの直線を確認後
それに合せて短いスケールも直線の確認をする
これはほぼ直線になっている
直線になっていない場合は
ダイヤモンド砥石などで修正する



フレットのレベルを確認するときは1フレットから見ていく
最初に1弦側にこのようにスケールを当て
光に透かせデコボコがないか確認する
なければそのまま6弦側までスライドさせ全弦の確認をする
次に1フレットずらし2フレットから4フレットまでを見る
こうして最後まで確認作業をする

場合によっては各弦のところだけ1フレットから順次
2フレット、3フレット・・・と見ていく場合もある

このときのフレット面の仕上げ方は後に述べます



短い方のスケールは
このようにナットの溝の深さの確認にも使うことができる



これはフレットの頭を揃えるときに使う自家製のヤスリ
荒削り用と仕上げ用の2種類あると便利である
写真のものは仕上げ用で、ヤスリを適当な長さにカットし
取っ手をロウ付けしたもの
手軽に行うにはハンダ付けでもいけると思う
当然ながら削り面のレベルは確認しておく必要がある



このように、カットしたヤスリを
木に接着したものでもOK



右は荒目、左は細目


使った接着剤は
ボンド・ウルトラ多用途SU



これはフレットの頭を丸めるためのヤスリ
私はこのようなコテ状のヤスリを使っている
7mm巾のヤスリを断面が55度ほどの傾斜の
台形になるようにグラインダーで面取りをする
台形の斜面の幅は1mmほど

グラインダーで削った後は
サンドペーパーなどでなめらかに仕上げておく
写真はその55度の角度で
フレットの頭を削っているところ
なめらかな部分が指板に当るように
ヤスリを動かすと指板に傷が付きにくい
動画参照下さい





このヤスリはマンドリンにも使うので
フレット間隔3mmほどの
マンドリンのハイポジションにも
対応できるように加工している


面取り幅は1mmほど







ここのように薄い金属板を置き
ヤスリの傷が付かないようにする方法もある
これはカミソリの刃を使っているが
フレットの高さが低い場合はやりにくい場合がある
マスキング・テープを使う場合もあるが
現在ほとんど傷防止はせずに
ヤスリだけで行っている
指板に付いた傷はスクレーパーなどで
削り落とせば問題ない



ヤスリ加工が終わったら
サンド・ペーパーでヤスリの傷を消す
私は写真のようなシリコン・カーバイドの
600番を使っている



サンド・ペーパーを保持するパッドは自作したもの
堅いものと柔らかいものがあると便利だが
柔らかいものだけでも問題はない

左のものは木にゴムを貼ったもの
右のものは発泡ウレタンに5mm厚の
アクリル板を貼り付けたもの



1フレット側からフレットと平行に
サンド・ペーパーを動かし
ヤスリの傷を消していく



それが終わったら、柔らかめのパッドを使い
パッドの角でフレットの頭を丸めるように
1フレットから5フレットくらいまで
一気に移動させる
これを最後のフレットまで行い
次にフレットの反対側を同様に研磨する
このときは19フレットから行うことになる



最後に、このように人差し指にペーパーを当て
上記と同じ要領でフレットの頭を丸めるように研磨する



仕上げとしてスチールウールで磨き上げる
これは#000の細かさのもの

フレットと平行に磨きサンドペパーの傷を消していく
これが済んだら、指板をフィニッシング・オイルで仕上げる
私はレストアフィニッシュを使っている
以上が私が行っている板フレットの仕上げ方である

最後にフレット面の仕上げ方の概略を述べておきます
仮に、弦を張って調弦をした状態での1フレットから
19フレットまでのフレット面のラインが直線だとする
このときに、まずローポジションを押弦した際
弦がビレないように弦高を確保した場合
12フレット付近の弦高は必要以上に高くなっている場合が多い
それは、押弦した際の弦の振幅とブリッジサドルからの弦の角度の違い
それから弦の振幅巾がローポジションとハイポジションでは
違うためそうなるのであるが、ここでハイポジションでの弦高を
適度な高さまで下げるとローポジションでは低くなりずぎる
それを補うためにローポジションの弦高だけ高くなるように
指板、あるいはフレットを削り込む
こうすれば両方のポジションでの適度な弦高が確保できることになる
この状態を4フレット付近からフレットの高さだけを見ていくと
3−2−1フレットと徐々に高くなっている
ちょうど、Jの字を横に倒して曲がりを
緩やかにしたようなラインを作るわけである
私はこれをJラインと呼んでいる





参考までに、これはヴァイオリン族の指板の仕上げ方だが
(資料提供:日本弦楽器製作者協会)
ギターもこれと同様の処置をすると良い効果が得られる
ただし、この資料では弓反り状のラインにするとされているが
この状態ではギターの場合、ハイポジションがビレる恐れがあるので
指板の中ほど以降は直線かあるいは下がり気味くらいがよい
また、フレットがある分、反り具合は
弦楽器より少なくても効果を得られる

このJラインの曲がりの程度は、楽器の特性に合った
微調整をすると、より良い効果が得られる
私は楽器によっては1弦側と6弦側を
違った曲がり具合にする場合もある


スカロップ指板の仕上げ方はこちら

古典音律フレッティングはこちら

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